「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い。

 みんな同じ女だった。「夢に、デルヴォー」展。 

女は美しい魔物である。できれば一生、魔物と暮らしたい。

ポスターのキャッチコピーにひかれて美術館参りを した。
「夢に、デルヴォー」
展である。
aderu.jpg
府中市美術館 「ポール・デルヴォー展」
11月11日(日曜日)まで
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Paul Delvaux
ポール・デルヴォー(1897~1994)は、
ベルギーのシュルレアリスムを代表する画家。
「冷たいエロティシズム」と形容される蠱惑的な油彩画を描いた一方で、
恋人や家族、友人たちをモデルにした繊細で詩的なデッサンを数多く残した。
同じベルギーのシュルレアリストとして、
1歳違いのルネ・マグリット(1898-1967)と比較されることも多い。


展示された絵を見ていたら、いろんな画家の名前を思い出した。
横尾忠則、アンリ・ルソー、キリコ、マグリット、ブリューゲル、アングル・・・。

a(行列 1963年)
(行列 1963年)
大きな黒い瞳。無表情な顔。裸婦がみんな同じ女性に見える。
デルヴォー32歳のときに出会った初恋のひとタムのイメージが投影されているそうだ。
32歳で初恋とはかなり うぶだったのか、初めての真剣な恋だったのではないか。
(私の場合は大学2年。相手は2つ年上のOL。婚約指輪をはめていた)

ローの婦人
(ローの婦人 1969年)

息子デルヴォーを溺愛する母親は、二人の恋に猛烈に反対した。
 母親は彼にこう言った。
「女たちは心を惑わす悪魔だ・・・体を与える代りに男を破滅させる」。

死ぬときデルヴォーに、タムに二度と会わないよう、呪詛のように言い残した。
35歳の彼は、その言葉を忠実に守り、タムと別れ、
4年後に別の女性と結婚する。
だが、彼の心の中にはタムがいつも居た・・・。
(私の場合も、けっこう長く居た・・・)

app.jpg
(会話 1944年)

それから17年の歳月が過ぎた1947年の夏。突然、運命の転機が訪れる。
49歳になったデルヴォーは、ある小さな避暑地で偶然、
聞き覚えのある声を耳にする。 あっ、タムの声だ!
ようやく愛の神が微笑みかけてくれた。
たった1年だけ恋人だったタムと、ついに再会を果たすことができたのだ。
タムは金持ちの公証人との婚約を解消し、
貧乏画家デルヴォーと暮らす決心をする。
(私の場合、「愛と運命の神」は他の用事で忙しかったようだ)

a《夜の使者》 1980年 ポール・デルヴォー財団
(夜の使者 1980年)

二人はクリスマス・イブの日に、手荷物だけ持って駆け落ちを決行。
デルヴォーの妻スザンヌとの離婚が思ったように進展しなかったからだ。
5年後に離婚が成立し、やっとタムと結婚。デルヴォー55歳の時だった。
(私は微波風のある平凡な生活を持続。
OLのほうは子ども2人の母親になったようだ)


タムとの生活は幸せいっぱいで、デルヴォーの制作意欲を高めた。
デルヴォーは全財産を失い、家に残した全ての作品を失ったが、
彼は美しきミューズたちの住まう幻想の世界を次々に描いていき、
画家としての地位を着実に固めていく。

bアテネの気まぐれ娘たち
(アテネの気まぐれ娘たち 1968年)

デルヴォーの作品に繰り返し現れるモチーフは人生の象徴であるそうだ。
蝋人形のような滑らかな肌の女性は、もちろん最愛の女性タムのイメージ。
神殿や電車、骸骨、ランプなどは、
少年時代の思い出や個人的な体験の反映である。

Delvaux01.jpg
(エペソスの集いⅡ 1973年)

二人は長寿を全うした。
1989年、アンヌ・マリー・ド・マルトラール、通称タムが91歳で死去。
デルヴォーは二度と絵を描こうとしなかった。
5年後の1994年(平成6年)、デルヴォーも死去。97歳の生涯を終えた。

aデル
(ダニエルの習作 1969年)

☆澁澤龍彦のデルヴォーへのオマージュ。
「生涯にただひとり、同じ顔をした理想の女を追求するひとのように、
この画家は、彼しか出会うことのない
永遠の女の原型を描きつづけたのであろうか」

☆デルヴォー本人の言葉。
「私の絵のほとんどの中で描かれる女たちは、
同時に女神であり、ミューズなのです。
そして私の描き出そうとしている女たちは、あらゆる人々を魅了する光です」


a府中美術館 012

愛する人がいて、好きなことをして、命を完全燃焼できるなら、
人生に悔いはない。

最後に館内のCafeに寄り、あんみつ¥400を注文。
私には甘い話はこの程度。

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2012/10/05(金) || [edit]

鍵コメさんへ。(^^)

ご丁寧にありがとうございました。
1,2日のうちにご返事いたします。

2012/10/05(金) |URL|☆バーソ☆ [edit]

こんばんは、バーンさん。

こんなに1人の女性を思い続け、
やがて、美しき魔物とくらせたデルボーは
その思いを全う出来て、これ以上の幸せは有りませんね。

イメージは私もルソーでしょうか。

バーンさん、何気に告ってますけれど、
わぁ~!素敵。

いやいや、あんみつ以上の甘い話があるに違い有りません^^。

2012/10/05(金) |URL|りもママ。 [edit]

すっかり忘れていました!
私、若い頃、ポール・デルヴォー
に夢中だったことがあったのに・・・
すっかり忘れていました~
思い出させて頂きました
ありがとうございます♪

2012/10/06(土) |URL|babatyama [edit]

甘い記憶♪

デルヴォーさま、恥ずかしながら存じ上げておりませんでしたわぁ
府中かぁ・・・ちょと遠いなぁ・・・でもみたいなぁ・・・

それよりなにより、わたくし、バーソさまのミューズが気になるわぁ

愛する人がいて、好きなことをして、命を完全燃焼できるなら、人生に悔いはない。

ホントね~ そぉよね~ 
すべてを捨ててまで自分を選んでくれる殿方って、
そうそう見つかるもんぢゃーないわぁ
逆にすべてを捨ててまでって思わせる女性もなかなかいないでしょうねぇ

デルヴォーもタムも幸せな最期だったんでしょうねぇ
なんだか、うらやましいい話だわぁ 浪漫ちっくだわぁ

お一人で府中にお出ましになられたのぉ?
あっ、心にミューズがいるから、ふたりかなぁ・・・
うっ? 過去形? 
甘い記憶なのね~♪

2012/10/06(土) |URL|きまぐれひめさま [edit]

りもママ。さんへ。(^^)

コメント、ありがとうございます。

魔物は怖いので、特に魔物が女性ならあまり出会いたくないですね。
でも、美しき魔物なら別。ぜひ出遭いたいものです。

でも、出遭っても、相手が興味を持ってくれなければ駄目ですから、
出会いから、さらなる発展を想像するというのは無駄かもしれません。
私の場合、人生には、無駄なことが多かったです。はい。

あんみつ以上の甘い話といえば、まあ、クリームあんみつの話ぐらい。
私の場合、そんな程度です。とろける話はありません。(ノ_-。)

2012/10/06(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

babatyamaさんへ。(^^)

コメント、ありがとうございます。

まあ、ポール・デルヴォーに夢中だったんですか。
ということは、愛するひとを一心に見つめて、甘く切なく熱烈で
ロマンティックな恋を貫徹してきたということですね。^^)/

でも、夢中だったと言われてみれば、
デルヴォーの絵には想像力(イマジネーション)があります。
babatyamaの絵も、想像力と創造力があります。
確かに共通点がありますねー^^)。

2012/10/06(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

きまぐれひめさまへ。(^^)

コメント、ありがとうございます。

誰でも自分の命を完全燃焼できれば満足できるのでしょうが、
大抵の人は、100パーセント燃やし尽くすことはありません。

でも平凡無難な人生だとしても、それはそれでいいのかもしれませんね。
その中でも、人生の機微というのでしょうか、微妙な変化があります。
出会いがあり、別れがあります。
うれしさがあり、悲しさがあります。
甘いだけでなく、酸っぱさがあると、味わいに広がりや深さがあります。

人生にはいろいろあるのが案外いいのかもしれないなあ、
と最近は思うようになりました。

私、飲み物はカルピスのような甘くてすっぱい系が好きですが、
カルピスのキャッチフレーズは「初恋の味」でしたね。
恋は成就しなくても、その切なさ、やるせなさがいいのでしょうか^^)。

2012/10/06(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

キャッチコピーにひかれて、っていうのがバーソさんの洒落道を極めてますね。

デルボーは、一番最初に油彩の大きい絵を描いたときに似てるって言われた事があるので、思い出深い画家です。
デルボーにこんな過去があったなんて知らなかったです。さすがバーソさん、なんでも極めますね。とても勉強になりました!

2012/10/07(日) |URL|abe [edit]

abeさんへ。(^^)

コメント、ありがとうございます。

「一番最初に油彩の大きい絵を描いたときに似てるって言われた」
というのは、物事にとらわれない自由な発想がある、
イマジネーションの世界が感じられる、って意味かなと思いました・・・。

じつはabeさんの絵を見ていると、時々フジ子・ヘミングを思い出すときが
あります。線や構図は全然違うのですが、きれいな色を使っていて、
発想が型にはまってなく、絵を楽しんでいるのを感じるからでしょうか。

彼女のアルバムは一つだけ(※)しか音楽プレーヤーに入ってないのですが、
でもピアノの弾き方や、絵の自由な描き方、着る物の選び方は、
たいしたものだなあ と思います。
(※:リストの「愛の夢」とか「ラ・カンパネラ」、なかなか いいですよ)

今回の『heavenly peace 37』。
真っ白なぼたん雪が、しずかに、おだやかに、音もなく、しんしんと、
大地に降り落ちていて、絵画(静物画?)の動画みたいです。

薄紫(ヘリオトロープと言わせてください)は、私の好きな色ですね。
そのモノトーンのような雪世界に、ポツンと独りたたずむ赤いカカシ。
風上に向かって両手を広げ、なんだか健気に立ち向かってるようにも見えます。
この小さな赤い色が、また印象的ですね。
「自由に動ける」というのも、なかなかいいものだなあと思います^^)。

2012/10/07(日) |URL|☆バーソ☆ [edit]

赤毛のアンの作品の中にも、
家族の結婚を望まない、そして
結婚しないと誓わせるなんていう身勝手な
人の話が、出てきます。

愛ゆえに、そんなことをさせるのか、
嫉妬からさせるのか、
はたまたいじわるからやっているのか、

人の心の中を覗くのは、難しいものですが、
私には、理解不能です。

約束をしてしまう方の人間も、
私には、もどかしく思えてしまいます。

私だったら、絶対にそんな約束はしないだろうなぁ。

v-22v-12v-22v-12v-22

裸婦を、こんなに描いた絵描きさんがいたのですね。

絵はあまり知らないんです。

でも、あんまりいやらしくなくって、
女性への、愛が見える作品だと思います。

タムの一番美しい姿は、裸なのでしょうね。

裸のタムをめぐる、色々な出来事が、
描かれてあるのでしょうか?

姉の気まぐれ娘に比べると、
タムの美しいこと!

白いドレスの婦人は、母親なのかもしれません。

バーソさんの、初恋のエピソードが綴られていて
大学時代のバーソさんを想像して
ワクワクしました。

綺麗なお姉さんが好きだったのですね。

ロリコンのバーソさんより、
大人な女性に恋するバーソさんが、
私のイメージに近いです。

(ウフフ、又 勝手にイメージを作ってしまいました。)










2012/10/07(日) |URL|ゆりママ [edit]

姉のきまぐれ娘➝アテネの気まぐれ娘
間違ってしまいました。

m(__)m

2012/10/07(日) |URL|ゆりママ [edit]

ゆりママさんへ。(^^)

コメント、ありがとうございます。

「赤毛のアン」がいたグリーンゲイブルズには住みたいと思いますが、
あの土地の古い因習だけは遠慮したいです。
人々は基本的には善良なのでしょうが、伝統宗教の教えを土台にした
古くて狭い考え方が、人々の幸福に制限を加えています。

デルヴォーが恋愛を反対されたのは、母親の息子への溺愛のほかに、
恋人タムの家との身分の違いもあったとか言われているようです。
個人の感情や考えを大切にしない不自由な考え方は困ったものですね。

≫「タムの一番美しい姿は、裸なのでしょうね」
そうなんでしょうね。愛する人なら特にそうなんじゃないでしょうか。
(ここの部分は経験がなく、想像でゆりさんに同意してますが)

アダムとイブのいたエデンの園では、男と女は裸だったとか。
動物もみな裸です。人の心の中に不純ないやらしい考えがなくなれば、
裸のままが本来の人間的な生き方なのかもしれないですね。
(着る物でお洒落をするのも、なかなかいいものだと思いますが)

わたしの若い頃を想像してワクワクしてくださったんですか。
あらー、うれしいですね。いつもいいイメージを持ってくださって、
うれしいですね。ありがとうございます。

わたしのゆりさんのイメージは、フラを踊るきれいなお姉さんです^^)。

2012/10/08(月) |URL|☆バーソ☆ [edit]

はじめまして

ポール・デルヴォーを好きって人はなんか共通したものがある、って
そんなこと思います。
何かを捨てるか抜けるかすると忘れるけれど、
また、そこに戻るなにか。かな?

2012/10/10(水) |URL|takako.t.maru [edit]

takako.t.maruさんへ。(^^)

訪問、コメント、ありがとうございます。

≫ポール・デルヴォーを好きって人はなんか共通したものがある

確かにそうですね。誰かを好きになるのは、
何らかの共通点があるという場合が多いでしょうから。

相手のある部分を好きだと感じるというのは、
自分にも同じ要素があるからそうなるとも言えるでしょうし、
であれば、その愛は、つまるところ自己愛に似ているのかも。 (^Δ一)

≫何かを捨てるか抜けるかすると忘れるけれど、
また、そこに戻るなにか。かな?

なるほど。そうですね。
ひとは、なかなか好きなものから逃れられないのでしょうか。

諦めが悪いのか。
執着心や未練の思いが強いのか。
妄執・我執・煩悩が強いのか。
拘泥・固執・耽溺しやすいのか。
堅忍・忍耐・我慢・不屈・根気があるのか。
不撓不屈の精神なのか(貴乃花が選んだ言葉)。
思い込んだら百年目なのか。
他には、信念が強い、愛が強い、という捉え方もありますね^^)。

(お名前にデジャブとシンクロニシティを感じます)

2012/10/10(水) |URL|☆バーソ☆ [edit]

バーソさまへ

こんにちはAKIRAです。
リンクありがとうございます。相互リンクさせていただきました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
知的風味漂う御ブログへのコメントは、
ワタクシの頭がクルクルパーであることがバレる可能性が
ありますので、細心の注意をはらい一言だけ言わせていただきます。

最近寒くなってきましたので、
風邪をひかないようにしましょうね。 AKIRA

2012/10/11(木) |URL|ARAKI AKIRA [edit]

こんばんは

私もリンクさせていただきました。
よろしゅうおたの申します。

2012/10/12(金) |URL|takako.t.maru [edit]

AKIRAさんへ。(^^)

わざわざのコメント、ありがとうございます。

あらまあ、相互助け合いだなんて、
まだ暮れも押し迫ってないのに、どうもすみません。
無用な気を遣わせるのがイヤで黙っていたのですが、
つい気が大きくなって、白状してしまいました。
カツどんは食べてないのですが、ミョーですね。

私のブログは「知的風味」だなんて、なかなか鋭いっ。
そうなんです。「風味」なんです。
他には、「もどき」とか、「・・・調」とか、
ええと、「疑似」とか、「まがいの」とか、
「見せかけの」などがあるかもしれませんが。

あ、それに一文字、誤植かもしれませんよ。
「知」じゃあなく、「稚」または「痴」もしくは
「遅」あるいは「弛」のほうが、より適切かもしれませんね。

じつは、ご本『本能寺の恋』は、先ほど注文しようとしたら、
土曜に届くとのこと。でも、その日は留守で居ないので、
土曜夜に帰ってきてから、アマゾンに注文するつもりでいます。

いわゆる一般的に言うところの「本」や「小説」類は、
『1Q84』以外、買ったことも読んだこともないので、
ちょっとドキドキハラハラしています。

2012/10/12(金) |URL|☆バーソ☆ [edit]

takako.t.maruさんへ。(^^)

あららーっ。すみません。
目が早いですね。
申し訳ないですね。
お近づきになれるだけで光栄でしたのに。
こうなれば末永くご指導とお引き立てのほど
よろしくお願いいたします。m(_ _)m

2012/10/12(金) |URL|☆バーソ☆ [edit]

はじめまして。

訪問履歴からおじゃまします。

絵画に疎いのですが…
何となく引き込まれるような、
ストーリー性のある絵に見えました。
アンダーヘアーがワッサ~っと描かれていても、
さほどイヤラシク見えないのは…
芸術性が高いからなのでしょうね。

また遊びに来ますね。

2012/10/15(月) |URL|カメゴロウ。 [edit]

カメゴロウさんへ。(^^)

コメント、ありがとうございます。

わたしも絵画に疎いのですが、
同じようなモノを見ても、
見せるほうの心構えと、見る人の心構えとで、
結果はずいぶん違ってくるように思います。

で、カメゴロウさんはかなりマジメな人だ
ということがよく分かりました^^)。
またの訪問をお待ちしています。

2012/10/15(月) |URL|☆バーソ☆ [edit]

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