「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い。

 「狭いながらも楽しい我が家」は、ささやかな天国だ。 

今回は、有名な曲の歌詞から読み取れる日本人とアメリカ人の幸福感です。

曲は『私の青空』。 原題は『My Blue Heaven(マイ・ブルー・ヘヴン)』。
1928年(昭3)、ビクター楽団のジーン・オースティンが低く穏やかに歌って大ヒット。
以来、星の数ほどの歌手がカバーしている永遠のスタンダードナンバーです。


同じ1928年に堀内敬三が訳詞。浅草オペラの二村定一が歌っている。→ コチラ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
My Blue Heaven  (作詞:George Whiting、作曲:Walter Donaldson)

When whippoorwills call and evening is nigh
I hurry to my Blue Heaven

I turn to the right a little white light
Will lead you to my Blue Heaven

  A smiling face, a fireplace, a cosy room
  A little nest that nestles where roses bloom

  Just Molly and me
  And baby makes three
  We’re happy in my Blue Heaven
 

写真家

私の青空 (日本語詞:堀内敬三)

夕暮れに 仰ぎ見る 輝く青空
日暮れて 辿(たど)るは わが家の細道

  せまいながらも 楽しい我家
  愛の灯影(ほかげ)の さすところ
  恋しい家こそ 私の青空 (繰り返し)


               ●


歌うは浅草オペラのコーラスボーイだったエノケン(榎本健一)。
先程のジーン・オースティンとはまるで違い、うれしそうで、楽しそうで、明るい。
(見ていると涙が出てきます)

坂本九、田谷力三、坊屋三郎、八木治郎アナ、柳家金語楼の姿も一瞬見える。

女性ヴォーカルでいかがでしょう。
 ★ドリス・デイ マリーネ・ディートリッヒ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「狭いながらも」と訳された原詞には、「ながらも」という意味は無い。

「せまいながらも楽しい我が家」と訳された「A smiling face, a fireplace, a cosy room,」
の直訳は、「笑顔と、暖炉と、こじんまりとした居心地のいい部屋」。
(次行の「A little nest」も「小さな、居心地のいい住まい(すみか、巣)」という意味)

だから原詞では《狭いながらも楽しい》ではなく、《狭くて楽しい》と歌われている。

アメリカ人は家は狭いほうがいいと思ってる、という話を読んだことがある。
なぜかというと、彼らの家は大きくて広いので掃除が大変だからなのだそうだ。

new.jpg
http://labaq.com/archives/51775093.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
原題の『My Blue Heaven』は、「私の青い天国」と訳してもいい。

日本語で「青空」と言われると、昼間の澄み渡る青い空を連想するが、英語の「heaven」
には「天、天空」のほかに「天国、至福の場所、神」といった意味合いもある。

この歌で描かれている時間帯は、人も鳥も家路に急ぐ日暮れ時。
私がディズニー映画で印象深いのは、日没直後、太陽が地平線の下に隠れたものの、
まだ空が明るく、ブルーのグラデーションがとても美しいシーンだが、そんな夕暮れ時に
家族揃って楽しく時を過ごす・・・という天国のような情景がこの歌のイメージでは?

昔、『大草原の小さな家』という、NHKで放映された米国NBCのテレビドラマがあった。
西部開拓時代に、大きな森の中の小さな丸木小屋で必死に生きるインガルス一家 (ローラ、
父さん、母さん、姉のメアリー、妹のキャリー)を描いたものだったが、これはタイトル通り
《小さいが楽しい我が家》、すなわち《つつましやかな幸せ》がテーマだった。

ひと昔前はアメリカでも、ささやかな幸福でも良いとする思考があったようだ。

e1.jpg
http://japan.digitaldj-network.com/articles/7630.html

ともあれ、狭いながらも楽しい我が家は、まさに天国の至福。
神が望んでいる「地上の楽園」とは、こういう幸福感を言うのではないか。

と書いたものの、
高級品が溢れる瀟洒な邸宅で暮らすのが楽しいという感じ方も悪くないし、
住まいはどうであれ、独りで自由に暮らせていい、と思う生き方もいいし、
困難艱難の中で、日々を暮らしていくのが精一杯、という人もいるだろう。

人生いろいろ。考え方いろいろ。
日常が順風満帆でも、波乱万丈でも、平穏長閑でも、波風突風時々有りでも、
いま自分の気持ちに《張り》を感じつつ生きているなら、それもまた、
この地球に人間として生まれてきた素晴らしさ、有り難さ、不思議さ
というものではないでしょうか?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
関連記事
スポンサーサイト

COMMENT FORM

  • URL:
  • comment:
  • password:

うんうん、生きてることに感謝しなければですね!健康であればなんでも
耐えられるし。
それにしてもえのけんさんの笑顔は、ほんとに涙がでそうです。田谷力三さんの
歌声が誰よりも大きくて、ちょっとうるさいかな、とも思うけど、それもまた
良いですね。もう、昔の画像はなんでも許せますね!

2013/12/07(土) |URL|abe [edit]

昔の音

バーソ様
こんばんは。

懐かしいというのを通り越している歌ですね。
恐らくSPレコードだと思うのですが高域がないので
スクラッチノイズが気になりません。
ひたすら軟らかい音です。

愛新覚羅

2013/12/07(土) |URL|aishinkakura [edit]

abeさん ありがとうございます^^)

>うんうん、生きてることに感謝しなければですね
そうそう、そうです。生きてることは感謝です。奇跡です。
こうして人間として生きていられるので、日常では、楽しいこともあれば、
悲しいこともあれば、苦しいこともあれば、腹の立つこともある。
そんないろいろな異なる感情を味わえるというのは、いいことなんですね。

もしもそんな感情が全く無くて、いつも同じ無表情・無感動でいるなら、
なんとまあ、退屈で、つまらなく、それでは生きてる意味がないと
思うのではないでしょうか。生きてることは、ありがたいことです。

>田谷力三さんの歌声が誰よりも大きくて、
ほんと。自慢の美声を響かせて、なんだかリードしてるような感じですね。
エノケンは、ほとんど覚えてないんですが、日本の喜劇王と呼ばれたんですね。
いい顔してます。ひとのよさが感じられます。一生懸命歌ってますね。

2013/12/07(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

aishinkakuraさん ありがとうございます^^)

>懐かしいというのを通り越している歌ですね。
なんたって、大ヒットしたのが昭和3年ですからね。
私も今回初めてジーン・オースティンを聴いたような気がします。

>ひたすら軟らかい音」です。
確かに、SPレコードで聴く音楽には独特の味わいがありますね。
真空管アンプの音に通じる暖かさと言えるでしょうかね。

私は、今は高域があまり伸びないほうが好みの音になりました。
ツィーターなしの16センチぐらいのフルレンジ1本でもOKです。
aishinkakuraさんは自作BH型スピーカーにホーンツィーターを付けた
ということでしたが、低域と高域にもかなりこだわりがありそうですね。

2013/12/07(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

その通りですよね

何かというと高額所得者が悪者扱いされたり、お金基準で人柄までも確定されてしまうのは変だなぁと思う時があります。
なんだか、見栄えとか懐具合だとか、そういう事でしか価値基準をはかれない世の中になってきたなぁと。
バーソさんのおっしゃる通り、人それぞれなんですよね。
どんな人にも不幸があるし、幸福もある、と思います。
…って、言いたい事が支離滅裂?(笑)
すみません、そろそろ眠いので頭が働かなくて(^^ゞ

うちの夫の実家(アメリカ)では、部屋が11室ありますけど、日本に来て私と狭いアパートで新婚生活を始めた頃は、やはり『狭い家っていいな』と言ってましたよw
今では家族も増え、そんなロマンチックな事は言っていられなくなったのか、『広い家がいい』とか言ってますけどねw

本人の希望通り、広い家に住んではいますが、面白い事に過ごす部屋はいつも1つだけです。
リビングルームですよ(笑)
家族が集まりやすい場所ですね~w
結局、人間って集団の習性があるから、家の大きさなんて関係ないんですよねw
家族が一番の幸せだと、改めて思いました。
ありがとうございます!

※大草原の小さな家…みてましたb

2013/12/07(土) |URL|ウダモ [edit]

エノケンの画像が懐かしくて
ドキドキしちゃいました~
若い頃、少しだけ演劇をやっていて
テレビ局の楽屋で金語楼さんとご挨拶をしたことがあったので
画像捜したら見つかりました(^_^)
懐かしい~♪

2013/12/08(日) |URL|babatyama [edit]

おはようございます

この歌や「青い山脈」などは両親から聞かされた懐かしい歌ですね。
エノケンって妙に音程がいいんですよね。(笑)
明治時代に来日したソフィア・フォン・タイルが、日本の家屋は狭くても
家具や物を置かない習慣があって広々として清々しい。そしてそんな中に
一輪挿しがあったりして質素にもかかわらず洗練された美しさがあると
感嘆していました(「日露戦争下の日本」)。以前、私が半年ほど単身赴任して
いたときは、掃除がいやだし、面倒なので一室だけを居住空間にして
生活していました、貧乏性なんですね。でも、私の理想の部屋は
だだっ広くてなにもない部屋・・・、そう、倉庫みたいな部屋です。(笑)

2013/12/08(日) |URL|エリアンダー [edit]

ウダモさん ありがとうございます^^)

共感できる部分があったようで、うれしいです。
ウダモさんのおっしゃる通り、お金基準で判断されるのはおかしいですよね。
私は、「人の生き方は、その人がいいと思っていれば、それでいい」。
「ひと様に迷惑をかけない限り、本来どう生きても自由」と思っているんですよ。
そのくせ、まったく自由には生きてきませんでしたけどね。(~_~;)

部屋が11室というのはすごいですねー。3LDKなんて言葉が飛んでしまいます。
そうですか。「広い家に住んでいても過ごす部屋はリビングルーム」ですか。
それは家族が一致し、夫婦仲もいい証拠。人生が恵まれている証拠でしょう。
まさに「広いながらも楽しい我が家」で、よかったですね。
むろん、そうは言っても、いろいろと多少はあるかもしれませんが、
気苦労してそれを乗り越える醍醐味(?)もありますからね。(笑)

2013/12/08(日) |URL|☆バーソ☆ [edit]

Lady-babaさん ありがとうございます^^)

おー、「若いころ演劇をやっていた」んですか。
そして「テレビ局にも出入りしていて、柳家金語楼と挨拶した」。
やっぱりねー、以前から私は、babaさんは並の人ではないなと思ってましたよ。
美術・工芸のほかにも、「演劇」にも才能があるんですねー。
だからあの「地雷犬」みたいな動画をつくるのもお上手なんですね。

金語楼は、エノケン、ロッパと並んで知られる喜劇人でした。
家では笑わなかったそうですが、話や顔は面白いひとでしたね。
あら、ひょっとして「演劇」って、喜劇関係じゃないでしょうね。(^J^)

2013/12/08(日) |URL|☆バーソ☆ [edit]

エリアンダーさん ありがとうございます^^)

>エノケンって妙に音程がいい
私は顔に目が行きましたが、さすがに「音程」に目が、いや、耳が行くんですね。
そしてなんですか、ソフィア・フォン・タイルって。
知らない人だったので、例によって検索したら、
松山収容所にいるロシア将校の妻ですか。そんな人が日本のことを当時、
「質素にもかかわらず洗練された美しさがある」と書いたんですか。

以前読んだ話ですが、江戸末期、外国から来た偉い役人が、世話になったので、
と出したお礼を、質素な身なりをしている下級役人(武士)が受け取ろうとせず、
そんなことは今まで立ち寄ってきたアジアの国々ではなかった、と感心してました。
また、港から見た江戸は世界一きれいだ、と書いてる外国人もいましたね。
(今でも、日本の街はきれいだと言う外人がいるので、ちょっと驚きますが)

人は一畳あれば暮らしていける、と西洋人が言ったのを聞いたことがあります。
自分だけの部屋、棲家とか言いますが、そんな完全私的スペースが欲しいですね。
もし倉庫みたいな部屋があれば、私は多分スミのほうでちまっと生活します。(笑)

2013/12/09(月) |URL|☆バーソ☆ [edit]

反面プレゼント

この震災で と記事中に配慮いただきまして
有難う御座います
 ですが  口には出せないプレゼントも有ったのですよ

大家族制が基本の地域でしたので 長男の嫁さん
どの位 苦労してたか解らない

子供に及ぶ害を考え 疎開避難ときて
二重生活になって大変だとは言っても 本当は・・・?

畑等の作物 摂取しないように補償金をもらい
トイレの改修もままならない経済状態から
 ウォシュレットに変わり シャワー付きバスの
少人数住宅なんて 夢の様な生活に成ったのです

社会福祉協議会が傍についてる仮設住宅
安心して年寄をまかせられる・・・

心の隅には 空洞が空いているでしょうが
一生体験できないと思っていた体験が出来ている

考え方をちょっと切り替えれば こんなのも悪くないと
思えるのではないでしょうか 
狭いなら狭いながら 楽しむべきだと思っています

 散らかってて当たり前 狭いんだもの・・!
外出の機会も増えました コンサートなんてない世界
だったのに 観に行ける  逆に感謝している人は
結構 居ると思えます  難しいとこですよね



2013/12/10(火) |URL|ブッキ~ナ♡ [edit]

ブッキ~ナ♡さん ありがとうございます^^)

>心の隅には 空洞が空いているでしょうが
>一生体験できないと思っていた体験が出来ている
おお、そうなんですか。よかったです。(^ム^)
つらい経験も、かえって良い経験になった場合もあったのですね。
それを聞いて、少しほっとしました。

私は、自分の経験からもよく思うのですが、
自分の過去に悪いことがあったとしても、悔やむばかりでは進歩がない。
でも、それもまたいい経験だった、これからは精々新しい経験を楽しもう
と思えれれば、おのずと自分の新しい人生がひらけていく・・・。
環境、事情、状況が変わることは、いい機会なのかもしれませんね。

あの過酷な出来事とは違う話を聞けてよかったです。、
ブッキーナさんは、これからは、もっと自分のしたいことをして、
もっと存分に「今」の時を愉しめていけるといいですね。

2013/12/10(火) |URL|☆バーソ☆ [edit]


『My Blue Heaven』、いろいろと聴いてみました(^^)
やはり僕には、ジーン・オースティンのVer.が一番しっくりキます。

『私の青空』(=日本語訳)も、こうして歌詞だけ引用して読むと、
また格別な味わいを感じてしまいますねえ。
ことに、『愛の灯影(ほかげ)の さすところ』って部分の、
まぁなんという美しい音と語の余韻でしょうか。
日本人に生まれて良かったと、しみじみ思いましたです♪
『狭いながらも』というのも日本人特有の奥ゆかしさ(?)でしょうかネ。

ところで、『My Blue Heaven』で歌われている“cosy room”や、
“little nest”は、『私の青空』の中の“狭いながらも楽しい我家”の
2〜3倍は広いように感じてしまいます(笑)

だって、“fireplace”があることが、絶対条件なんですもんッ。
ちいさなこたつで身を寄せ合う・・・ぢゃ、ダメなんでしょ〜(^^;)

2013/12/10(火) |URL|G.D.M.T. [edit]

G.D.M.T.さん ありがとうございます^^)

>ジーン・オースティンのVer.が一番しっくりキます。
ああ、じつは私もそうでした。あの曲が持つ古き佳き温かいアメリカのイメージが
いちばんよく出ている、という印象を受けましたね。
ですが、あら、「キ」とカタカナになってるのは、相当キたという意味でしょうかね。
そして、
>『愛の灯影(ほかげ)の さすところ』って部分の、
>まぁなんという美しい音と語の余韻でしょうか。
あー、さすがに音楽にも言葉にも感覚が鋭敏。確かに「余韻」を感じられます。
文語調の持つ味わいではないでしょうか。日本語もいいものですね。

<だって、“fireplace”があることが、絶対条件なんですもんッ。
>ちいさなこたつで身を寄せ合う・・・ぢゃ、ダメなんでしょ?(^^;)
あははは、ダメです。無理です。彼らは基本的にファット&ビッグで、
薪をいっぱい切っていつも補充をしないといけないかわいそうな人種で、
こたつのぬくもりと人の触れあいも知ることができない哀れな人種で、
こたつでミカンの皮をむいてを食べる楽しみも知らない人間ですよ。(笑)
と言いながら、広いリビングに暖炉は憧れですねー。(悲)
なお、我が家ではこたつは仕舞って、エアコンと重ね着にしています。

2013/12/10(火) |URL|☆バーソ☆ [edit]

Trackback

トラックバックURL:http://barso.blog134.fc2.com/tb.php/135-ffb7b042

back to TOP