「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い。

 刀にまつわる言葉は、日常を地味に面白くしている。 

                 [バーソ青草文庫]
 「刀」に関係する言葉を四十一個入れ込みました。絵はアンドリュー・ワイエスの作品です。


刀と天国
 
 ある日の事でございます。神様は、刺青(いれずみ)と刀傷が目立つ男と一緒に、
天国の花園をぶらぶらとお歩きになっていらっしゃいました。
 何とも云えない好い匂いが、絶間なく辺りへ溢れております。天国はちょうど
朝なのでございましょう。


「次郎吉や、此処の居心地はどや?」
「へい、何だか夢みてえ。地獄で仏とはマジに此の事で」
「おいおい、此処は天国で、わいは神サンやで」
「ああ、そうだった。それにしても、この大泥棒のおれが、こうして天国に来ち
まったワケがまだ分からねえ」
「ええか、ホンマもんの神サンは愛の塊りみたいなもんや。愛と憎しみとは両立
せえへん。そやさかい、愛の神が人間を罰する事なんかあらへんのや」
「だから、おれのような者でも永遠の責め苦を受けたりしねえんだ」
 神様は、男が、一人の雲助を助けた事があるのを思い出しておられました。


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 「たこ焼き」のタコに代わる新人は他にいないのか。 

「今川焼き」は、モテ・・キャラが揃っている。
定番役者の小豆餡あずきあんの他に、抹茶入り餡、カスタードクリーム、チョコ、ポテマヨ、
ゴマ餡、ピーナッツ、ソーセージ、キャベツ炒めなど、多才な競演者たちがいる。

しかし「たこ焼き」は、ずうーっとタコ(蛸)役者の一人舞台だ。
いまだ有望な新人は出ていない。

好きなものを勝手に使えば「すき焼き」になり、まぎらわしいからだろうか?


 
 ベッキーの作る「たこ焼き」がイスラムの人たちに大ウケ。


「たこ焼き」の由来を見ると、人生はますます楽しくなっていると思えますよ。


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《食》に突然変異は無い。人間の思考により進化発展している。

①徳川綱吉の時代、京都で「銀つば」が考案された
天和年間(1681~)、小豆餡を上新粉(米粉)の皮で包んで平丸型にし、銅板で焼い
た焼き餅が流行り、日本刀の鍔(つば)に似ていることから「銀つば」と呼ばれた。

②「銀つば」が江戸に伝わり、「金つば」と名付けられた
享保年間(1716~)に「銀つば」が江戸に移り、皮をごく薄くして「金つば」の名
で表すようになり、皮は京都ではうるち米粉だったのが江戸では小麦粉になった。

都都逸に「年期ねんき増しても 食べたいものは 土手の金鍔きんつば さつま芋」とうたわれるほ
ど有名で、明治になるまで、浅草は吉原遊廓近くの日本堤に何軒もの店があった。

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 Wikipedia


③「銀つば」にヒントを得たのが「今川焼き」という説がある。※1
水で溶いた小麦粉を、くぼみを付けた鉄板の鋳型に流し込む工夫により、製法が
容易になった。安永年間(1772~)に神田の今川橋付近の露店が売り出したという。

呼び名は、関東では「今川焼き」だが、全国的には「大判焼き」のほうが主流で、
九州では「回転焼き」、広島県では「二重(にじゅう)焼き」と呼ばれている。※2

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 フリー画像「photo AC」


④大正時代、餡の代わりにコンニャクを使った「ちょぼ焼き」が生まれた
小豆の餡が高価だったので、総菜のコンニャクが使われた。プリプリした食感が
タコに似ている。名称は、点などの小さく丸いものをちょぼと言うことからきた。

⑤「ちょぼ焼き」の具材を牛肉に変えた「ラヂオ焼き」が出来た
具材を惣菜のコンニャクからスジ肉に変えたもので、名の由来は、当時のハイカ
ラ文化の象徴「ラヂオ」にあやかったもの。嗜好が少し贅沢になったのだろうか。

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大阪市西成区『会津屋』の「元祖ラヂオ焼き」。
味噌風味のコンニャクと牛すじが入っている。
12個600円 (HPより)

 

⑥昭和になり、具材にタコを入れた「たこ焼き」が登場した
兵庫県の明石に、卵とだし汁を多く使う「明石焼き」があった。昭和10(1935)年、
大阪市西成区『会津屋』の初代店主が、客から「明石ではタコを入れとる」と言
われ、牛肉の代わりにタコを使った「たこ焼き」を作り、それが全国に広まった。

最初は、会津郷土料理の海産物の乾物を素材とした《こづゆ》で味付けをしてい
たが、戦後トンカツソースが発明され、ソース味の「たこ焼き」が主流になった。

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 フリー画像「photo AC」


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「たい焼き」は「今川焼き」の派生品で、明治に出来た。

形のバリエーションを思い付いたひとがいたのだろう。鯛は《めでタイ》せいか。


昭和の頃、「たい焼き」は、お菓子のセレブだったようだ。

林芙美子『新版 放浪記』 (初出『女人藝術』昭和3年10月号~昭和5年10月号)

 (五月×日)
 雨。
 ユーゴーの惨めな人々を読む。(中略) 
 駄菓子屋へ行って一銭の飴玉を五ツ買って来る。
 鏡を見る。愛らしいのだが、どうにもならぬ。(中略)
 脚がずくずくにふくらんできた。穴があく。麦飯をどっさりたべるといい。どっさり食べると云う事が問題だ。どっさりとね……。(中略)
 朝から晩まで食べる事ばかり考えている事も悲しい生き方だ。いったい、私は誰なの? 何なのさ。どうして生きて動いているんだろう。
 うで玉子飛んで来い。
 あんこの鯛焼き飛んで来い。
 苺のジャムパン飛んで来い。
 蓬莱軒のシナそば飛んで来い。
 ああ、そばやのゆで汁でもただ飲みして来ようか。ユーゴー氏を売る事にきめる。五十銭もむつかしいだろう……。
 


平成の現代は「たい焼き」の製造過程もショーアップされている。


東京駅内の自動たい焼きマシーン(友人のエリアンダーさんのスマホ撮影) あんこが多い!


               


人の命はつらくても、楽しきことも多かりき。

世の中には問題がいろいろあっても、
便利に自由に暮らせていることをもっと喜んでもいいと思いますね。



資料――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※1:『しらべぇ』https://sirabee.com/2014/10/30/6177/
※2:『藪だこのひとりごと』http://yab.o.oo7.jp/yabudako.html
※:Wikipediaの各項目など
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 公平と平等の違いと、河鍋暁斎の鬼才。 

                  [バーソ青草文庫]

公平と平等

 或る真夏の夜であった。男が二人いた。
 夜中とも明け方ともつかない妙な空合いで、吹く風がキリっとしている。
 顔の青白い、手首まで彫ってある剳青(ほりもの)の目立つ小柄な男が、眼光鋭い
髭面(ひげづら)の大男の前でボソッと云った。

「ちえっ、地獄に来ちまったか。おれもヤキが回ったぜ」
「此処に来たもんは皆、最初そないゆうなぁ。せやけど、ちゃうでぇ。あんさん
は天国に来よったんや」
「ああ、情けねえ、青山の大名屋敷に忍び込んだはいいが、屋根でツルリと滑っ
て落っこちて、頭をガツーンと打っ…ええーっ? 此処は天国だって? 本当かい。
おめえ様は天国の番人かあ?」


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 (絵は河鍋暁斎の作品を紹介しています。本文には関係ありません)

 「慚愧に堪えない」とは、自分と他者と天に恥じること。 

夏がとっても暑いから、こころ寒くなる参照亭バーソのハナシでもいかがでしょう。
とまあ、暑中お見舞いを兼ねまして・・・


「おや、熊さんかい、お上がり。この暑い昼日中によく来たな」
「あ~、よかった。安心した。ご隠居は、まだイカの一夜干しだわ」
「なんだ、まだイカの一夜干しとは?」
「へえ、まだスルメになってねえ」
「なにかい、あたしゃ、生けるミイラかい?」
「あははは、ご隠居。このハゲ―――ッの話、知ってますよね」
「おい、ひとの頭を見ながら言うやつがいるか。それがどうした」
「いえね、テレビを見ていたら、そのとき『残金が足りない』とか言われてたん
です」
「うーむ、それは、たぶん『慚愧(ざんき)に堪えない』じゃないかい?」
「それそれ」



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