「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い。

 人生はマネーゲームか。将棋の「王」と「玉」の違い。 

江戸南町奉行の根岸鎮衛が書いた随筆『耳嚢』 みみぶくろ に珍談奇談が記録されている。

寛政七年(1795)秋、木星が月の内を抜け(て隠され)る木星蝕が起きた。
人々は、この天文現象はどんな吉凶の前兆か、と恐れ怪しんだ。

そこで奥医師の橘宗仙院が即妙な狂歌を詠んだ。

 月の内に 星の一点 加うれば 目出度めでたき文字の始めなりけり

「月」の字の底部に、一つの「星=点(ヽ)」を水平気味に加えれば、空きが左右
 つながって「目」の字になる。「目」は「目出度い」言葉の始めというわけだ。


月による木星蝕ではないですが、木星の衛星が3つ影となっている珍しい写真です。
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Rare Triple Eclipse on Jupiter (NASA, Hubble,)

月に星が一点加わって目の字になる、このイキな話は「月も知ってる俺らの意気
地~」と続いて、「吹けば飛ぶよな将棋の駒」※1の意外な話となりますよ。(笑)

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 『ジョ-ジとドラゴン』の伝説と、正義感の自己中心性。 


今回は、西方の英雄伝説とその絵画ですが、まずはジョークからどーぞ。

 18世紀のイギリス。
 疲れて腹をすかせた旅人が『ジョ-ジとドラゴン』の看板のある旅籠にたどりついた。
 ドアをノックすると旅館の持ち主の妻が窓から顔を出した。
「食べ物をくれませんか?」
 女は男の粗末で薄汚れた服装を見て、「ダメ」と叫んだ。
「では、ビール一杯だけでも」
「ダメ!」
「じゃあ、せめてトイレでも」
「ダメよ」
「ええと・・・・」
「ダメよ。今度は何よ?」

「あのう、ジョージの方と話させてもらえませんか?」

        kikwc.jpg
          ※看板とは無関係の参考画像です。

 (海外のジョークと訳文も面白い『夏への扉』の「ドラゴン」2015/07/06より)


ジョージ(George)とは聖ゲオルギオスの英語名で、イングランドなどの守護聖人。
邪悪なドラゴン(竜)を退治して人々を救った話は、西方では有名な英雄伝説です。


この旅人は、その守護聖人の名を出したのですが、ご加護にはあずかれずでした。

 人生不可解という遺書。藤村操の『巌頭之感』 

 
  果実に芯があるように、
    人は誰でも自分の死を自分の中に持っている。――――リルケ



山田風太郎『人間臨終図巻・上』を読んだら、涙が垂れ流し状態になりました。
15歳から55歳までに死んだ324名の臨終の様子が簡潔に書かれている良書です。

その6番目は、華厳の滝に飛び込んだ藤村 操(みさお)の話。
彼の遺書は、16歳の人が書いたとは思えない漢文調で、感銘を受けます。



 巌頭之感


  悠々たるかな 天壤てんじょう 遼々たりょうりょうる哉 古今、
  五尺の小躯しょうくて 此大このだいをはからむとす。 
  ホレーショの哲學 つい何等なんらのオーソリチィーをあたいするものぞ。 
  萬有の眞相はだ一言にしてつくす、いわく、「不可解」。 
  我このうらみいだいて煩悶、ついに死を決するに至る。
  既に巌頭がんとうに立つに及んで、胸中 何等の不安あるなし。
  はじめて知る、大なる悲觀は大なる樂觀に一致するを。

                   (明治36年5月22日)


 (意)
  なんと悠々たるかな、天地(の空間の広さ)は。
  なんと遥かなるかな、古今(の時間の長さ)は。
  私は五尺(151cm)の小さな体で、この大きさを測ろうとした。
  ホレーショの哲学は、結局は何らの権威者に値するものか。
  万物の真相はただひと言で言える、すなわち「不可解」だと。
  私はこの恨みを抱いて悩み苦しみ、ついに自殺の決意に至った。
  今すでにこの華厳の滝の岩頂に立っているが、
  胸のうちには何の不安も無い。
  初めて知った。大いなる悲観は大いなる楽観と同じだと。



  遺書は、滝のかたわらのナラの木をナイフで削り、墨字で書き残されました。
  gantou.jpg
  http://www.geocities.jp/sybrma/gantounokan.kakudai.html

藤村操は、家族には何と言い残していたのでしょうか。
日光の小西旅館から家に送った郵書には、こう書いてありました。「世界に益
なき身の生きてかひ(甲斐)なきを悟りたれば、華厳の滝に投じて身を果たす」。


 《自己愛》は自分と世界を楽しくする。 


智を働かせれば、女子危うきに近寄れる。 
情を尽くせば、トンビが紀文のさつま揚げ持ってくる。
意を伝えれば、馬耳西風。
とにかく人の世は面白い。

 すみません。冗談半分で始まりましたが、最後の行はかなり本心です。


いや、人の世は面白くなんか無い、と思う人がいるでしょうか。

もしそうなら、この際、一気に面白くしてやりましょう。


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John William Waterhouse, The lady of shalott


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